【現地レポート】イオンスマートテクノロジーが体感したDatabricks Data + AI Summit 2025:データとAIの最前線、そして未来のデータ基盤への道

【現地レポート】イオンスマートテクノロジーが体感したDatabricks Data + AI Summit 2025:データとAIの最前線、そして未来のデータ基盤への道

2025/9/26

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この記事に登場している人

櫻井 良輔

Ryosuke SAKURAI

イオンスマートテクノロジー株式会社 データプラットフォーム開発ディビジョン ASPD開発ユニット ディレクター
ex-三菱地所/三菱地所ITソリューションズ
資格:ITストラテジスト/プロジェクトマネージャー/システムアーキテクト/ITサービスマネージャー/JAPANメンサ会員

三菱地所(株)DX推進部、三菱地所ITソリューションズ(株)ITコンサルティング部を兼務し、三菱地所グループのDXを推進。2023年5月イオンスマートテクノロジーに入社。

    岩間 義尚

    Yoshihisa Iwama

    イオンスマートテクノロジー株式会社 データプラットフォーム開発ディビジョン ASPD開発ユニット ASPD開発チーム データエンジニア
    ex-日本ビジネスシステムズ株式会社
    資格:SnowPro Advanced: Architect Certification

    2021年に新卒で日本ビジネスシステムズ株式会社に入社。入社後2年ほどはインフラエンジニアとして通信系のオンプレHadoopのインプレースアップグレードプロジェクトに従事。その後はデータエンジニアリング領域のプロジェクトに複数参画。2025年2月より現職。

    #立教大学 #SQL #Python

    2025年6月8日-12日、技術カンファレンス「Databricks Data + AI Summit 2025」が米国サンフランシスコで開催されました。主催するDatabricksは、データウェアハウスの信頼性とデータレイクの柔軟性を兼ね備えたレイクハウスアーキテクチャを提唱する、データとAIの統合プラットフォームです。あらゆるデータ活用を一気通貫で実現するそのソリューションは、データ基盤の主要な選択肢として、多くの企業で導入が進められています。

    イオングループのDX戦略を担うイオンスマートテクノロジー(以下、AST)も、まさにその動向を注視する1社です。現在、イオングループのデータ基盤であるASP/Dのリアーキテクチャという大きな転換期を迎えるなか、ASP/D開発ユニットのシニアマネージャー 櫻井良輔、データエンジニアの岩間義尚らが同カンファレンスに参加しました。彼らは最先端の場で何を感じ、イオングループの未来をどう描いたのか。本稿では、現地で得られた知見と今後の展望について詳しく伺いました。

    【目次】

    なぜサンフランシスコへ? それぞれの立場から見た参加目的

    ──まず、「Databricks Data + AI Summit 2025」に参加された目的について、それぞれの立場からお聞かせいただけますか?

    櫻井マネージャーとしての立場から言えば、まずはDatabricks社との関係強化が挙げられます。サンフランシスコという地でのイベントに参加することで、同社にとって価値のあるパートナーとして認識してもらいたいと考えました。また、同じようにサンフランシスコまで足を運ぶ他社との横のつながりを築くことも重要な目的の1つです。

    岩間私はエンジニアとして、Databricksの最新技術をキャッチアップすることはもちろん、競合製品との違いを肌で感じたいという思いがありました。実は昨年、競合製品のカンファレンスにも参加しており、技術的な優位性だけでなく、会場の規模や参加者の熱気といった盛り上がりの違いも比較したいと考えたんです。

    そして、Databricks社内のエンジニアとの関係強化も意識していました。今後、技術的に踏み込んだ質問をする機会は必ず増えます。そのときに、顔の見える関係を築けているかどうかは、プロジェクトの推進力に大きく関わってきます。

    ──今回のカンファレンス参加の背景には、イオングループのデータ基盤であるASP/Dのリアーキテクチャという大きなテーマがあったかと思います。そもそも、なぜ今、データ基盤の見直しが必要になったのでしょうか?

    櫻井ASP/Dは、2020年のAST設立当初からイオングループのDX施策の1つとして企画されました。ただ、手探りでスタートした当初は、データ基盤を作る、いわゆる0を1にするということに大きな軸足が置かれ、スピード感が優先されたため中長期で陳腐化しない構成になっているかどうかの検討までは十分に行われなかったのが実状です。しかし、いま、一定の形ある基盤ができた状態で山崎CTOのリーダーシップのもと、社内の調整を経て、今だからそこに取り掛かれるようになりました。現行のデータ基盤アーキテクチャを見直すなかで、Databricksには大きな期待を寄せています。

    ▲左から櫻井・岩間、insiXコンサルティングチームの岡崎、データアナリストチームの樋口

    ASTの未来を変えるか? 注目新機能「Genie」「Lakeflow Designer」

    ──カンファレンスで発表された新機能のなかで、特に印象に残ったものはありますか。

    岩間特に印象的だったのは、非エンジニアでも自然言語でデータを扱える「Genie」と、その統合インターフェースである「Databricks One」です。ASTでも、企画職のメンバーがデータを活用したいというニーズは日々高まっています。実際に、同行したデータアナリストの樋口は、Genieを使い、SQLを書かずに自然言語で指示を出すだけでBIダッシュボードを作成するという活用をさっそく始めています。これまでエンジニアが介在していた作業を、分析したい当事者が直接行えるようになる。これは大きな変化です。

    エンジニアとしては、ノーコードでETL処理を実装できる「Lakeflow Designer」に期待しています。データの抽出・加工・格納という定型的な作業をGUIで完結できるため、たとえばスキルの浅い若手メンバーでもすぐに戦力化できる。人材採用の幅が広がるという点でも、非常に大きなメリットを感じています。

    ——リアルタイム処理に関する新機能もあったと伺いました。

    岩間はい、「Lakeflow Connect Zerobus」です。これまではデータが発生してから基盤に格納されるまで、どうしてもタイムラグがありました。この機能は、データ発生源からDatabricksへ"直通"でデータを送り込めるようにするものです。これが実現すれば、お客さまの購買行動に対して、よりタイムリーなアプローチが可能になります。技術的には以前から可能でしたが、それをよりやりやすくなるという点が重要ですね。

    最前線のリアルな姿から得た確信と、現地参加の意義

    ——現地のセッションから感じたことはありましたか?

    櫻井各社の事例セッションは、業界全体の動向や熱量を把握するうえで有益でした。特定の課題に対する解決策を直接見つけるというよりは、むしろ我々が直面している課題は業界をリードする企業も同じように抱えているんだ、という気づきを得られたのが最大の収穫かもしれません。

    多くの企業が、Databricksの持つポテンシャルを最大限に引き出すために、まさに我々と同じように試行錯誤の段階にいる。そのリアルな姿に触れられたことで、「我々の挑戦は決して遅れてはいない」という確信を持つことができました。

    岩間技術以上に印象的だったのは、IT技術に対する社会全体の寛容さですね。街では完全自動運転タクシーのWaymoが当たり前のように走り、人々が日常の足として利用している。日本では「もし事故が起きたら」などといったリスクに関する議論が先行しがちですが、ここでは「まずやってみよう」という精神が根付いている。カンファレンスのキーノートにサンフランシスコ市長が登壇したのも、データ企業に対する街の期待の表れだと感じました。

    ▲サンフランシスコの一部エリアで運行する完全自動運転タクシー「Waymo」

    ——岩間さんは、エンジニアとして今回のような海外カンファレンスに現地参加することの意義を、改めてどのように感じられましたか?

    岩間最新技術に関する知識は、今やオンラインでほとんどキャッチアップできます。それでも現地に足を運ぶ価値は間違いなくありました。それは、「一番詳しい人に、その場で聞ける」という体験です。発表されたばかりの情報を、自社の課題に置き換えて質問し、深く理解していく。このサイクルを現地で高速に回せたことは、何よりの収穫でした。

    そしてもう1つは、モチベーションです。サンフランシスコの空気を吸い、世界中から集まった熱心なエンジニアたちと夜な夜な語り合う。そうした環境に身を置くことで、「明日からまた頑張ろう」という純粋なエネルギーをもらえた。

    今回のカンファレンスへの参加は、我々がこれから進むべき道を再確認し、具体的な行動計画へとつなげるための有意義な一歩となりました。

    「実店舗を守るための攻めのIT」へ。ASTが描くデータ活用の未来

    ——次期データ基盤に採用する技術として、ASTがDatabricksに期待を寄せる理由はどこにありますか?

    櫻井まず、我々の基幹システムとの親和性の高さです。ASTのシステムはMicrosoft Azureを主軸に構築されているため、Azureエコシステム上でシームレスに連携可能なDatabricksは、技術的なメリットが非常に大きいといえます。

    そのうえで、卓越したパフォーマンスと、それに見合う経済合理性に期待しています。データウェアハウス製品を比較検討するなかで、Databricksが持つ処理速度の速さ、つまり技術的な優位性は明らかでした。そして、その高いパフォーマンスを、我々が納得できるコスト感で利用できる。この優れたプライスパフォーマンスは、データ基盤への投資対効果を最大化するうえで、非常に強力な魅力です。

    ただし、Databricksは多機能なぶん、自分たちでやらなければいけないことも多い"上級者向けの環境"であるともいえます。使いこなせるかどうかが、その価値を大きく左右します。

    ——その"上級者向け環境"を使いこなし、ASTとしてどのような未来を実現したいとお考えですか?

    櫻井我々が目指すのは、「実店舗を守るための、攻めのIT」です。これから日本の労働人口はますます減少していきます。それは店舗従業員も例外ではありません。だからといって、お客さまが足を運んでくれるショッピングセンターという"場"をなくしてよいわけがない。ECサイトの台頭により実店舗の存在意義が問われるなかで、実店舗ならではの価値を技術の力で守り、発展させることが我々の使命です。

    我々が目指すのは、購買のトランザクションデータやお客さまの行動情報を、限りなくリアルタイムに処理できる基盤を構築することです。そして、その整理されたデータの上でAIが正確に動く環境を作る。それによってシステムが自動で判断できる領域を増やし、少ない人数でも店舗運営が回る仕組みを作る——。

    攻めのIT投資によって、流通小売業の現場、お客さまとのリアルな接点を守り抜く。それが我々イオングループにおけるDXの核となるストーリーです。今回のカンファレンス参加によって得られた知見とネットワークを最大限に活用し、真のグループ横断データ基盤の実現に向けて取り組んでいきます。


    イオングループでは一緒に変革に挑んでくれる方を募集中です。

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    ※掲載している所属・役職・肩書きおよび各種情報は、記事公開時点のものです。

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