
この記事を読むとわかること
・法学部出身・IT未経験から、POSシステム開発のスペシャリストを目指す4年目社員の挑戦
・パッケージ改修にとどまらない、全国6万台のレジを動かすPOS開発の広がりと面白さ
・業務側とシステム側の橋渡し役を担う、PMとしての苦労とやりがい
イオングループ店舗のレジは、お客さまとの接点の最前線。それを支える店舗システムには売価管理、販促など幅広い領域があり、なかでもPOSシステムは、お客さまの日々の買い物を支える重要なインフラです。その開発はパッケージの改修がメインと思われがちですが、実際はそうではありません。
今回インタビューしたのは、そのPOSシステム開発を担う入社4年目の青木慎一郎さん。学生時代は法学部で学び、文系出身ながらエンジニアリングの道へ進みました。面接では「最新技術を多用したパーフェクト店舗をイオンで実現してみたい」と熱く語り、入社当初からPOSシステム開発一筋。全国に広がる店舗のレジを通じて、お客さまの購買体験や従業員の働き方をどう変えているのでしょうか。これまで担当してきたプロジェクトや、PM(プロジェクトマネージャー)の醍醐味について聞きました(聞き手・書き手:古屋江美子)
【目次】
法学部からPOSシステム開発へ。面接で語った次世代店舗への熱意
──学生時代は法学部だったそうですね。なぜ法律の道に進まず、IT系しかも開発に関わる仕事を選んだのでしょうか。
青木どちらも社会から求められる重要な仕事ですが、目的の向きが違うと感じたんです。法律は「価値を守る」、つまりマイナスを防いだり、ゼロを保ったりする立場です。一方、システム開発は「新たな価値をつくる」立場。私は後者の自分でプラスを生み出すアプローチに惹かれました。
POSシステムに興味を持ったきっかけは、学生時代の飲食店のアルバイトです。お店のPOSシステムがバージョンアップされて、簡易的な自動発注や予測機能が使えるように。私も発注業務を担当していたので変化を実感し、「POSシステムが変わるだけで、新しい形でのデータ活用が行えるようになり、現場の業務がこんなに便利になるのか」と感動しました。
──POSシステムはさまざまな業界で使われていますが、小売業界、なかでもイオンを選んだ理由は何ですか。
青木買い物って、人が生きていく上で欠かせない行動じゃないですか。生活に身近な領域でシステム開発に携わりたいと思ったとき、真っ先に浮かんだのが小売業でした。なかでもイオンは圧倒的な規模があり、巨大データで社会全体の購買体験を変革できる可能性があると感じましたね。面接でも「POSシステムの開発をやりたい」とアピールしました。
──そこまでピンポイントで志望されていたのですね。面接官も驚かれたのではないですか。
青木珍しがられたとは思います(笑)。最終面接で「入社後にどのようなシステムをつくりたいですか」と聞かれたので、「カゴに入れるだけで精算が完了するRFID(Radio Frequency Identification)の仕組みに、画像認識やAIも組み合わせた次世代のパーフェクト店舗を、イオンで実現してみたい」と話しました。
印象的だったのは、面接官がこの架空のアイデアに対して、「それを実現するにはこういう課題があるね」「この条件をクリアできればいけるかもしれない」など真剣に議論してくれたことです。入社後もこんなふうに前向きに議論しながら開発を進められるのだろうと、良いイメージを持てました。
──IT未経験での入社に不安はありませんでしたか。
青木その不安は入社前に人事の方にぶつけていて、「半年間のITスキル研修があるので、あとはやる気次第ですよ」と言ってもらえたので、不安より楽しみのほうが大きくなりました。確かに専門知識のキャッチアップには苦労しましたが、わからないことを掘り下げていくと、点と点だった知識が線と線でつながっていく感覚が面白くて、どんどん楽しくなっていきましたね。
規模も領域も広がり続ける、POS開発の舞台
──配属後はどのように経験を積んでいったのでしょうか。
青木最初の数か月は業務補佐としてシステム全体の構造を学び、その後は比較的小規模な案件から主担当を任されるようになりました。
最初の主担当案件はスマートフォンアプリのクーポン振り分け処理の改修です。サーバーのクリア作業を定期的に実施しており、なぜこの業務が必要なのかと疑問に思っていたところ、閉店済みやオープン前の店舗にもデータが送り続けられサーバーを圧迫していたことが判明。定常業務の疑問点と、現場での問題点が線でつながった瞬間でした。その改修プロジェクトを自ら担当することになり、POSシステムの影響範囲の大きさとプロジェクトマネジメントの難しさを実感しました。

その後も、収入印紙などの法令対応に伴う画面表示の変更や、AEON Payで会員証の提示と決済を一度の読み取りで完了させるバーコード一本化、買い物しながらお客さま自身が商品を読み取るセルフ型買い物サービスへの対応、さらに他社システムとの連携など、大小さまざまなプロジェクトを並行して担当してきました。

仕事は早く覚えたほうが楽しいと思い、自分からも積極的に業務を引き受けていました。スピード感のある環境で、若手のうちから積極的に業務を任せてもらえたのはありがたかったです。
──関わる案件が、どんどん広がっているのですね。
青木そうですね。最近担当している案件の中には、社外パートナーを含めると数十人規模で動くプロジェクトもあります。関係者が多いので調整は大変ですが、その分、一つひとつの改修が届く範囲の広さを実感しながら取り組めています。
POSシステムの奥深さとプロジェクトマネジメントの醍醐味
──POSシステムの開発の醍醐味はどのようなところに感じていますか。
青木画面に新しい機能を追加したり、制御を変えたり、たとえ小さな改修でも、その一つひとつが全国で約6万台あるレジに適用されて、毎日お客さまが使うのだと考えると大きな手応えを感じます。
ベースとなるパッケージはありますが、POSシステムの改修範囲はレジでの会計にとどまりません。ポイントシステムや発注システムなど、裏側で多くのシステムと密接につながっているので、POSを変えるとその影響は思いのほか広い範囲に及びます。アルバイト時代にPOSが変わって発注が楽になる経験をしたように、非常に広い領域の業務革新を起こすことができるんです。
POSの設計次第で、現場のオペレーション負荷もお客さま体験も大きく変わります。システムでできることの限界と体験を良くすることの間で折り合いをつけながら、最新技術の実現に向けて関係者と議論を重ねるのは楽しいですね。
また、同じレジでも、有人レジとセルフレジでは求められる要件が変わってきます。従業員が操作する有人レジは、できるだけ操作回数を減らしてスピーディに対応できるかが勝負。一方、お客さまが操作するセルフレジは、初めて触るお客さまでも直感的に理解でき、不安を感じさせない画面操作が求められます。開発中は、この2つの視点で頭を切り替えながら最適な仕様を模索するのが、難しくも面白いところです。
──6万台のレジに影響が及ぶとなると、プレッシャーも相当ではないですか。
青木もちろん、止めてはいけない責任は常に意識しています。入社して実感したのは、どうすればもっと便利になるかという正常系以外に、ネットワークエラーやオフライン状態など異常系の振る舞いを考えることが大切だということ。想定外の事象をゼロにすることはできませんが、イレギュラーが起きたときにどう解決するかを論理的に考え、万が一止まってしまったときのことを周到に織り込んでおくことで、ある程度状況をコントロールできるのが設計の醍醐味です。

──PMとしての醍醐味は、どのようなところにありますか。
青木PMの大事な役割は、業務側とシステム開発側の橋渡し役だと思っています。最初に来る要望は、「これをやりたい」「エラー時はこうしたい」など抽象的なものがほとんど。それを具現化し、システムとして実現可能な範囲を見極め、関係者を集めて議論を重ねながら合意を取っていきます。
苦労するのはスケジュールの調整です。現場からの要望はつねに「できるだけ早く」がセットなので、できる範囲とできない範囲を明確にし、段階的なリリースも検討しながら進めていきます。
さまざまな人を早い段階から巻き込んで、責任範囲を分担しつつ、チームを大きくしています。一緒に戦える戦友を集めているような感覚は、PMだからこそ味わえるものですね。
自分の仕事が、全国の店舗の買い物を変えていく
──入社前に「自分の生活に近い領域で働きたい」と思っていたとのことですが、実際に働いてみて、生活に近いと感じることはありますか。
青木実際に休日に店舗へ行き、お客さまが当然のようにその機能を使っている姿を見ると嬉しいですね。以前、店舗を訪れた際に、現場で働く従業員から「バーコード一本化の機能、お客さまから便利になったって声をよく聞くよ」と話しかけてもらったことがありました。そういう言葉を直接聞けるのが、この仕事をしていて本当に良かったと思う瞬間です。
──最後にこの記事を読んでいるエンジニアへメッセージをお願いします。
青木入社して強く思うのは、POSシステムにはまだまだ大きな可能性があるということです。この先5年、10年でITは大きく変わり、従来の当たり前が当たり前ではなくなってくると思います。特に注目しているのはAIです。POSシステムのデータをAIが分析し、AI店長のように店舗運営をサポートするものもつくっていけるのではないかと考えています。
小売のPOSシステムと聞くと、なんとなく地味そうとか、特殊で難しそうというイメージを持たれる方もいるかもしれません。でも、これほど社会やお客さまとの距離が近く、日常生活の中で自分の仕事の影響力をダイレクトに実感できるシステムはそう多くないと思います。
お客さまの購買体験を変え、従業員の負担を減らし、ときには法令対応を通じて社会的責任も果たせる。さまざまな人と向き合い、自分の仕事が誰かの日常に届く手触りを感じながら大きな変革に挑みたいエンジニアの方に、ぜひ来てほしいと思います。
イオングループでは一緒に変革に挑んでくれる方を募集中です。
どのようなことをしているのか気になる方は、お気軽にご連絡ください。カジュアル面談も実施していますので、まずはざっくばらんにお話しましょう!
※掲載している所属・役職・肩書きおよび各種情報は、記事公開時点のものです。
この記事を書いた人
古屋江美子
ライター。1977年山梨県生まれ。大阪大学基礎工学部卒業後、通信会社の情報システム部で、顧客管理システムの運用や開発に従事。その後、ライターとして独立。技術系Webメディアやテック企業のオウンドメディア、システム導入事例、エンジニア採用インタビューなどを中心に執筆している。神奈川県在住。
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