
150名が参加!ZOZO、サイバーエージェント、さくらインターネット、イオンが語る大企業経営におけるSREの重要性とその戦略|AEON TECH HUB 開催レポート Session#1
2024/4/23
この記事に登場している人
山﨑 賢
Ken Yamazaki
イオン株式会社 CTO 兼 イオンスマートテクノロジー株式会社 取締役 CTO
新卒で大手SIerに入社。その後、Yahoo! JAPANへ転職し数々の新規サービスの立ち上げに携わる。リクルートに入社。大規模サービスの開発責任者を兼任。ゼネラルマネージャーとして組織マネジメントを実施。
その後、複数のベンチャー企業CTOを経て2023年より現職。イオングループ全体を統括するイオン株式会社のCTOとして従事。
一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)理事。
瀬尾 直利
Naotoshi Seo
株式会社ZOZO 執行役員 兼 CTO
光学機器メーカーにて組み込みシステムの開発に携わった後、2012年株式会社ディー・エヌ・エーに入社。オープンプラットフォームのインフラ、分析基盤、ML基盤を担当。 2019年SREスペシャリストとして株式会社ZOZOテクノロジーズ(現株式会社ZOZO)に入社。MLOpsチームを立ち上げた後、ZOZOTOWNリプレイスプロジェクトのSREチームをリード。 2022年4月 VPoE を経て、2023年6月 株式会社ZOZOの執行役員 兼 CTOに就任。社外活動として、Ruby、 Fluentdのコミッターを務める。
坪内 佑樹
Yuuki Tsubouchi
さくらインターネット株式会社 さくらインターネット研究所 上級研究員
SREの研究者。株式会社はてなでサーバ監視SaaSを中心にSREを5年間経験した後に、研究開発を動機として2019年より現職。2020年に京都大学大学院情報学研究科 博士後期過程へ社会人博士として進学。SRE NEXTに初回の基調講演を含む三度の登壇。エンジニアとしても研究者としても一貫してSREに取り組む。最近の研究テーマはAI for SRE。
柘植 翔太
Shota Tsuge
株式会社サイバーエージェント メディア統括本部サービスリライアビリティグループ マネージャー(事業責任者) 兼 SRE
2014年新卒入社。インフラエンジニア、SREとして、Ameba、AWA、社内基盤など50以上のメディアサービス・システムへの技術支援、SRE推進、リスク改善、サービス立ち上げなどを経験。2022年より、横断SRE組織を事業化し、メディア事業外へのSRE支援も推進している。近年は、SRE領域のCyberAgent Developer Expertとして、SRE組織やプラクティスの開発、Enablement、人材育成などへも注力している。社外活動として、SRE NEXT 2024のCo-Chairを務める。
株式会社サイバーエージェント メディア統括本部サービスリライアビリティグループ マネージャー(事業責任者) 兼 SRE
2014年新卒入社。インフラエンジニア、SREとして、Ameba、AWA、社内基盤など50以上のメディアサービス・システムへの技術支援、SRE推進、リスク改善、サービス立ち上げなどを経験。2022年より、横断SRE組織を事業化し、メディア事業外へのSRE支援も推進している。近年は、SRE領域のCyberAgent Developer Expertとして、SRE組織やプラクティスの開発、Enablement、人材育成などへも注力している。社外活動として、SRE NEXT 2024のCo-Chairを務める。
障害発生によるサービス停止は事業に大きな影響を与えます。
そのため、イオンではSREを経営レベルでも重要視しており、組織としてSREの強化を図っています。
2024年4月に開催された「AEON TECH HUB」では、「大企業経営におけるSREの重要性」をテーマに、SRE界隈の皆さんにご登壇いただきました。
各社のSRE領域における取り組みや運用時に大切にしていること、現場で意識していることを共有する場となりました。
今回は3回に分けてお届けする開催レポートの1本目であり、登壇者の自己紹介と各社のSREの概要を発表するパートの様子をお伝えします。
▼ Session#2の記事はこちら
https://engineer-recuruiting.aeon.info/aeon-tech-hub/event-reportATH-32
▼ Session#3の記事はこちら
https://engineer-recuruiting.aeon.info/aeon-tech-hub/event-reportATH-33
▼イベント詳細ページはこちら
https://aeon.connpass.com/event/310105/
【目次】
SREはイオングループ全体の「戦略的組織」/ イオンスマートテクノロジー
イオン株式会社 CTO
イオンスマートテクノロジー株式会社 CTO
山﨑 賢
私がイオンのCTOに就任したのは2023年4月でした。もともと海浜幕張に住んでいたこともあり、自宅近くのイオンからCTO職のスカウトをいただき反応したところ、ご縁をいただいて入社したのが経緯となります。
イオングループの中でも、イオンのデジタルシフト戦略を担うIT子会社がイオンスマートテクノロジーで、その中にSREエンジニアの組織があります。「イオングループの全てのビジネスをテクノロジーの力で進化させる」をミッションに掲げており、イオングループ全体で300を超える子会社、57万人の従業員が在籍する超巨大グループのDXを推進しています。
イオングループはグループ各社が個別に成長することや、途中からグループの仲間入りをした企業が増えながら、規模を拡大してきました。
そのなかで、全体のシナジーを生むためにはIDの統合が鍵を握っているため、イオングループ内の多数の事業会社が持つ顧客IDを一つのアプリ「iAEON」に統合する取り組みを行っています。現時点では、大きな事業会社から順次、顧客IDの統合が完了しており、今後も引き続きアプリの開発を進めていきながら、データの分析活用や利用ユーザーへの価値還元を目指しています。

同様に、イオングループ全体のデータを統合するプロジェクトも推進しています。最近ではイオン×エンジニアの取り組みを外部に伝えていくDevRel活動にも力を入れており、積極的な情報発信も行っています。
そのような中、私はイオンスマートテクノロジーのSREはイオングループ全体の「戦略的組織」だと位置付けています。最終的には、ホールディングス機能を持つイオングループの組織へと格上げし、そこにCCoEを設置することで、個別のテクノロジーやクラウドインフラを導入しているグループ300社の結節点となり、グループ全体のIT組織の結束や情報交換できる基盤を作りたいと考えています。
プラットフォーム技術者とアプリケーション開発者が担う役割SREの役割は「非機能要件の守護者」 / ZOZO
株式会社ZOZO 執行役員 兼 CTO
瀬尾 直利
私は大学卒業後に光学機器メーカーにて組み込みシステムの開発に関わっていましたが、2012年にDeNAへ入ってからはインフラエンジニアのキャリアを歩んでいます。2019年にZOZOテクノロジーズ(現 ZOZO)へSREスペシャリストとしてジョインし、当初はZOZOTOWNリプレイスプロジェクトのSREチームをリードしていました。その後、VPoEを経て2023年6月に執行役員 兼 CTOに就任しました。
ZOZOではファッションEC「ZOZOTOWN」や、ファッションコーディネートアプリ「WEAR」、ZOZOTOWN出店企業の自社ECのフルフィルメント支援サービス「Fulfillment by ZOZO」といったプロダクトを提供しています。ZOZOには9つの開発部門があり、プロダクトに紐づく本部とプロダクトを横断する本部で構成されています。SREエンジニアは、私が本部長を兼務している技術本部に最も多く所属しています。
Google社ではSREの役割を「運用と呼ばれていたタスクをソフトウェアエンジニアが引き受けると起きること」と定義しています。他方、ZOZOにおけるSREの役割は「非機能要件の守護者」と定義していて、Google社が定義する運用のツール化を実施しつつも、SREエンジニアにはこの役割を重視しながら活動してもらっています。

以前は、技術本部に所属するSRE部が全プロダクトを横断して支援する建て付けになっていました。この頃はSREのメンバーも少なかったため、“なんでもやるチーム”として稼働していました。それが今では人数も増えてきて、図のように、プロダクト専属のSREを配置できるようになったのです。
私が所属する技術本部では、基幹システム本部とZOZOTOWN開発本部のSREを担当していて、ZOZOTOWNのSREについてはドメインごとに区切ったマイクロサービスの運用を実施しています。
“AI for SRE”をテーマに掲げた研究開発に従事 / さくらインターネット
さくらインターネット株式会社 さくらインターネット研究所 上級研究員
坪内 佑樹
はじめまして。坪内と申します。私は新卒ではてなに入社し、サーバ監視SaaSを中心にSREを5年間経験したあとに、さくらインターネットへ転職し、SREの研究者として従事してきました。これまで「SREの実務5年、研究5年」という形でキャリアを歩んでいます。また、副業としてSRE を基軸としたサービスを展開するTopotalのテクノロジアドバイザーを務めているほか、4年前に京都大学大学院 情報学研究科の博士課程に入り、現在はSREをテーマに博士論文を執筆中です。
さくらインターネットが提供しているパブリッククラウド「さくらのクラウド」は、政府のガバメントクラウドに条件付きで採択されました。さらには生成AIの台頭でGPUの需要が活発化するなかで、弊社でもGPUのクラウドを開発しています。一方で、事業部とは独立した独自のテーマで研究開発を行う組織が、私の所属するさくらインターネット研究所になっていて、ここ数年では“AI for SRE”をテーマに掲げ、研究に取り組んでいます。
最近のアウトプットとしては、「クラウドの障害診断の自動化」に関する論文が国際ジャーナル「IEEE Access」に採録されました。また、大規模言語モデル(LLM)をSREに応用したさまざまな研究論文から読み解く最新の研究動向を私の個人ブログで発信しています。
さくらインターネットにおけるSRE事情については、2年前に社内の事業部にSRE室が新設されました。

さくらのサービスとお客さまのサービスの信頼性が対象となっており、Embedded SREやEnabling SRE、Platform Engineeringの開発を行っています。さくらインターネット研究所では、先ほど述べた“AI for SRE”に関する研究プロジェクトを推進しています。
SRE組織をチーム制からプロジェクト制に変更 / サイバーエージェント
株式会社サイバーエージェント メディア統括本部サービスリライアビリティグループ マネージャー(事業責任者) 兼 SRE
柘植 翔太
私はサイバーエージェントに新卒で入社し、社内基盤などを含めて50以上のメディアサービスやシステムを担当してきました。SREとしては9年ほどキャリアを積んできていて、現在はメディア統括本部サービスリライアビリティグループ(SRG)のマネージャー(事業責任者) 兼 SREとして業務を行っています。またサイバーエージェントが注力する事業領域に対して、エキスパート認定する「CyberAgent Developer Expert of SRE」にも選出されています。サイバーエージェントでは「新しい力とインターネットで日本の閉塞感を打破する」というパーパスを2021年10月に制定しました。先ほどのDeveloper Expertsも、パーパス実現に向けて責務を担う役割を持っています。
事業としてはインターネット産業に軸足を置いたメディア事業やインターネット広告事業、ゲーム事業の3本柱で事業ポートフォリオを形成しています。サイバーエージェントのSRE組織は、大きく分けると単一プロダクト専任のSRE組織と子会社専任のSRE組織、そして事業部横断のSRE組織の3つに分類でき、私がマネージャーを務めているSRGは、事業部横断のSRE組織になります。

実際のSRE実装パターンは図のようになっており、事業部横断のSRE組織ではEmbedded / Movable Embedded SREとSRE Center of Practice、Platform SREに該当します。

メディア事業においては、プロダクト専任のSREやプラットフォームSRE、横断組織からのSREなど、さまざまなSREが支援を行っています。
弊社のSRE組織が、様々な課題解決に取り組んだことによって得られた知見や考え方などをまとめた「SRE Technology Map」を公開しているので、興味があれば見ていただければと思います。
SRGはAmebaやAWA、CL、WINTICKE、社内基盤サービスなど、100以上のサービスやシステムを担当するメディア事業横断のSRE組織です。組織遍歴としては、はじめはメディア事業のインフラ組織として立ち上がり、2015年からはメディア事業横断のSRE組織へシフトし、2022年以降は横断SRE組織を事業化してメディア事業外のSRE支援も推進するようになりました。メディア事業横断のSRE組織へシフトした当初、SRGでは担当領域ごとにチーム制を導入し、プロダクトと関わっていました。
しかし、退職者や組織変更の影響が大きく、さらにはチームごとに独立した運用になることで組織シナジーが生まれにくいといった課題を抱えていました。その課題を解決するため、チーム制からプロジェクト制に変更し、各プロジェクトニーズへのコミットメントやSREサポートなど、組織として提供する価値の明確化や可視化ができるように意識しています。
イオンが主催するAEON TECH HUB #3、今回は大企業経営におけるSREというテーマでした!今後も、様々なテーマを取り上げていきますのでAEON TECH HUBをよろしくお願いします。
AEON TECH HUB #3開催レポートのその他記事もございますので、ぜひご覧ください。
▼ Session#2の記事はこちら
https://engineer-recuruiting.aeon.info/aeon-tech-hub/event-reportATH-32
▼ Session#3の記事はこちら
https://engineer-recuruiting.aeon.info/aeon-tech-hub/event-reportATH-33
イオングループでは、一緒に変革に挑んでくれる方を募集中です。カジュアル面談も実施しておりますので、少しでも気になった方はお気軽にご連絡ください。まずはざっくばらんにお話しましょう。
※掲載している所属・役職・肩書きおよび各種情報は、記事公開時点のものです。
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