現場の声を拾い上げ、業務効率化につながるアプリを開発 | イオン・エンジニアインタビュー

現場の声を拾い上げ、業務効率化につながるアプリを開発 | イオン・エンジニアインタビュー

2024/7/18

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この記事に登場している人

青山 慎一郎

Shinichiro Aoyama

イオンネクスト株式会社 IT部 プロダクトオフィスグループ サービスオフィス マーケティング/CRMエンジニア
大手ITベンダーにて、DB製品の開発、管理会計部門での社内業務効率化のツール開発などに従事。2023年2月にイオンネクストへ入社。バックエンドエンジニアとして、顧客関連のシステム改善やデータ活用のための基盤整備・機能開発などに取り組む。

    この記事を読むとわかること

    ・現場の課題をエンジニアリングで解決したいと強く思うようになった背景
    ・CSの業務効率化につなげたコマンドラインツール開発の全貌
    ・イオンネクストが扱う倉庫、中継地点、配送ルートといったデータが複雑な理由

    「エンジニアとしての知識・スキルを活かして現場の課題を解決したい」という思いを胸に、2023年2月にイオンネクストへ入社した青山慎一郎。前職で一時的にエンジニアとしての仕事から離れていた時期があったが、そこでエンジニアというポジションでは気づきにくい現場の課題を実感し、自らの手で業務を効率化するツールの開発に取り組んだことで、現場の課題解決にエンジニアリングを活かすことの面白さを認識したといいます。イオンネクストでは、バックエンドエンジニアとしてデータ基盤を支えるとともに、自ら率先して業務効率化のためのアプリ開発も手がけています。日々の改善を通じて、より大きな事業貢献を目指す青山に話を聞きました。

    【目次】

    データ量・複雑性など難易度の高い課題に挑めるイオンネクストで、エンジニアとして「現場の課題」を解決したい

    ——前職での仕事内容について教えてください。

    青山前職では、PostgreSQLベースのDB製品開発やインフラ構築などに携わった後、経理や人事関連のデータを管理する管理会計部門に異動になりました。同部門の配属になったことで一度エンジニアの仕事からは離れていたのですが、CSVデータをPythonで処理したり、それをブラウザから閲覧できるようにしたり、Active Directoryと連携させたりと自主的に業務の課題解決や効率化にも取り組んでいました。

    こうした経験を通じ、自分の過去のエンジニアとしての知識やスキルを活かして現場の課題を解決できることを再認識し、その楽しさを感じるようになったため、再度エンジニアの道に戻ることを決めました。

    ——エンジニアとして再出発する場所にイオンネクストを選ばれたのはなぜですか。

    青山転職活動のときは、自社サービスの開発に携わりたい、多くのエンジニアが周りにいる環境で働きたいという思いを持っていました。特にイオンネクストは、データの量や複雑さ、連携システムの多さが特徴で、前職で取り組んでいたエンジニアリングによる課題解決にもよりスケールの大きな形で関われそうな点が魅力でした。

    ——イオンネクストでは現在、どのような業務を担当されていますか。

    青山肩書としては、バックエンドエンジニアです。イオンネクストが提携しているOcado社のOSPという顧客管理プラットフォームと、社内の基幹システムやその他連携システムと接続するシステムを開発したり、そこに蓄積されたデータを活用するための環境を整備したりといった業務がメインです。

    ——一部データエンジニアのような役割も担われているイメージですね。

    青山そうですね。データ分析自体を担当しているわけではありませんが、データ周りのシステムのコードを書くことが多いです。


    1〜2週間かかっていた顧客対応を数分で完了できるように

    ——イオンネクストに入社してからこれまでの具体的な取り組みを伺えますか。

    青山データを扱いやすくするためのコマンドラインツールを開発しました。取引履歴や商品情報のデータは、OSPのプラットフォームにすべて保存されているのですが、OSP自体にはダッシュボード機能などがあるわけではないため、OSP上のデータを取得したい場合や更新したい場合にその都度APIを叩く必要がありました。たとえば、100件分であれば100件分のパラメーターをPostmanなどの既存ツールを使って書き換えてデータを取得したり、必要なデータのリストをExcelでつくって1件ずつ取得したりと、非効率な作業が生じていたんです。

    そこで、anx1という名前のコマンドラインツールをつくり、OSPから商品画像や値段、商品名、商品の詳細情報、領収書などを一度に取得できるようにしました。CSVオプションでCSVを出力することもできます。このツールは、たとえばカスタマーサポートでの対応の際に領収書を手動で出力したい場合などに使われています。

    ——エンジニアではない方もコマンドラインツールを利用されるんですね。

    青山はい。CTOの樽石を中心にみんなが触れるようになろうという意識が社内にあり、非エンジニアに対してもGitHubのアカウントが付与されています。全員にというわけではありませんが、データを取得してチェックする必要のある社員には、CLIに慣れて使ってもらう方針です。

    ——ほかの事例についても伺えますか。

    青山配送先の住所が本来の住所の緯度経度とずれて登録されてしまう問題を解決するためのピンずれ修正アプリを開発しました。Green Beansで配送先住所が登録された際、内部ではGoogleマップのGeocoding APIを叩いて住所を緯度経度などの位置情報に変換しています。このAPIが住所から正しい緯度経度を割り出せない場合、配送先のピンが実際の住所とずれてしまう問題が発生していました。緯度経度が誤って登録されたり、住所自体が別の場所に変換されたりしてしまうのです。従来は、誤りに気づいた際にGoogleマップの問い合わせフォームから修正依頼を行い、反映されるまで1〜2週間ほど待つ必要がありました。

    こうした課題に対し、ピンずれ修正アプリでは、問題のある住所や緯度経度を社内で速やかに修正し、正しい情報をOSPに直接登録できます。修正が反映されるまでの時間を大幅に短縮できるため、迅速な顧客対応が可能となります。

    現在でもカスタマーサポートとCRE(Customer Reliability Engineering)チームには、問い合わせが寄せられていますが、ピンずれ修正アプリの導入により、これらの問い合わせを高速で処理できるようになりました。

    ——現場の人たちからするとかなり便利になったと思います。配送トラブルの防止や顧客満足度の向上にもつながりそうです。

    青山現場で対応している方からは「本当に楽に変更できるようになった」という声をいただきました。上長からも、自主的につくったことに対して評価してもらえています。

    ——周りの方からもこうした取り組みを評価してもらえているんですね。現場の課題はどのようにして拾ってきているのですか。

    青山誰かに「こういう機能をつくってほしい」と言われてからやるというより、社内で「こういうのをつくりたいよね」という話になったときに「じゃあ、私がやってみます」と拾うことが多かったです。実際に開発したものに対して、レビュー会議でアイデアをもらえる機会もありました。

    ピンずれ修正アプリは、もともと別の会社に開発を依頼しようとしていましたが、CTOの樽石がチケットに「自社でもできそうなのでやれるかどうか考えておく」とコメントしていました。これを見て、いったん自分でプロトタイプをつくってみたのが開発のきっかけでした。

    入社当初は時間に余裕があったのでこうしていろいろと対応できていたのですが、今後は意識的に日々発生している問題にコンスタントに対応していくための時間を確保できるよう、社内の文化をつくっていければと思っています。

    日々、増大し続けるデータ量やシステムの複雑さに向き合うのが面白い

    ——実際に働いてみて、イオンネクストに入社する前のイメージとのギャップはありましたか。

    青山Green Beansのリリース前の大変な時期に、なんとか締切までに間に合わせるぞという意識が強くあったのが印象的です。前職でも締切のプレッシャーは大きかったので大企業特有のものなのかもしれません。

    一方で、サーバレス化、IaCなどが進んでおり、技術スタックはWeb系企業に近いといえます。こうして新しい技術を取り入れようという姿勢があるのは予想外でした。Green Beansの立ち上げ期には、CTOと近い距離でスピード感を持って「ああしたい、こうしたい」という話ができましたね。

    ——大企業ならではの文化を持ちつつも、スタートアップ的な環境もあるということですね。データ量やシステムの多さ、スケールの大きさという観点では、いかがでしたか。

    青山テーブル数は、全部を把握しきれないくらいほど多くあります。前職での会計関連のデータは、特定の決算データが月ごとにあるだけで、項目や種類が多いわけではありませんでした。複数のパラメーターがある難しさや複雑さは日々感じています。

    また、データの種類だけでなく、データ量への対応も求められます。顧客の人数が増えていくとともにデータ量も増大するため、今もまさに、CPU使用率100%の状態が一定時間続いてしまいシステムへのデータ取り込みのプロセスが止まってしまうといった問題に向き合っているところです。

    ——データ量の多さに加えて、データが加速度的に増え続けるという難しさもあるんですね。

    青山社内外のサービスや情報との連携も必要です。現在は、サプライチェーンのパイプライン整備にも取り組んでいるところです。社外から入ってくる情報の種類の多さも、エンジニアとしては面白いポイントかもしれません。

    また、倉庫や中継地点、配送ルートなどもどんどん増えて、システムの複雑さも増しています。これに伴うデータ保存や安定的なデータ取り込みのための仕組みづくりは、今後の大きなやりがいになりそうです。データ周りだけでも、やれることはまだまだたくさんあります。

    ——BtoCのサービスに関わられたのはイオンネクストが初めてだと思います。青山さんのなかで何か変化はありましたか。

    青山自分が普段利用しているスーパー「まいばすけっと」に倉庫から商品が日々届いているのを目の当たりにして、この光景を当たり前にするにはきちんとデータの整備をしていかなければならないという責任感を感じるようになりました。データの欠損などがあると、商品の配送が遅れたり、商品が届かなかったりするリスクが生じます。何気なく使っているシステムを当たり前に動かすことの大切さを実感しています。

    ——今後取り組んでいきたいことを教えてください。

    青山現場には、トラブルがあったときにどう帳尻を合わせればよいか理解しており、システムが追い付かなくてもなんとかできるような、いわば「職人技」を有した人たちが存在しています。結果として「運用でカバー」でどうにかなってしまっている部分もまだ多くあります。ただ、これからさらに事業がスケールしていくことを考えると、なるべくシステムだけでうまく回るようにしていくことが必要です。人手による非効率な作業を楽にしたいという思いでこれまでもプログラムを書いてきたので、これからも現場の「職人技」を紐解いたりしながら、コツコツとエンジニアリングによる課題解決に取り組んでいければと思っています。


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