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DevOpsグループ CREチーム
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坂井 勇登
Hayato Sakai
イオンネクスト株式会社 IT部 ユーザーサポートグループ シニアマネージャー
プログラマーとしてキャリアを開始し、国内小売り企業でクラウドインフラエンジニアを経験したのち、2023年11月SREとしてイオンネクストに入社。その後、2024年8月より現職。
添田 由華
Yuka Soeta
イオンネクスト株式会社 IT部 ユーザーサポートグループ リライアビリティチーム CRE
新卒でソフトウェア開発企業に入社し、金融・生保業務システムの設計からリリースまでを担当。営業事務とシステム開発の両面を経験後、通信系企業へ転職し、物流やコールセンター業務、エネルギー関連部門でのスタッフ管理や業務効率化など、ITから離れた業務に従事。2023年6月より現職。
小林 ローズ
Rose Kobayashi
イオンネクスト株式会社 IT部 ユーザーサポートグループ リライアビリティチーム CRE
空港のチェックイン業務やカスタマーサービスを経て、2022年にOcado Solutions JapanにPartner Successとして入社。2023年より現職で、IT部門にてインシデント対応を担当。開発経験はないが、GitHubワークフローや生成AIツールを活用し、業務の自動化・効率化に取り組んでいる。新しいスキルの習得を通じて、技術的な成長を目指している。
この記事を読むとわかること
・開発経験のないメンバーが、生成AIを活用して業務時間を大幅に短縮した具体的なエピソード
・非エンジニアの自走を支える「ガードレール」の敷き方と環境設計のポイント
・現場の課題を、AIという手段で解決に導くための思考プロセスと組織文化
「この作業、もっと楽にならないかな」。そんな日々の些細な、けれど切実な“違和感”こそが、組織を大きく変える原動力になります。
イオンのネット専用スーパー「Green Beans(グリーンビーンズ)」を展開するイオンネクスト。そのIT部ユーザーサポートグループ配下のリライアビリティチームでは、ブランクのある元エンジニアやプログラミング未経験の非エンジニアのメンバーが、生成AIを武器に業務効率化ツールを次々と自作しています。
なぜ、開発経験のない現場担当者が自らツールを作ることができたのか。そこにはAIの進化以上に、現場の課題意識を尊重し、挑戦を支える環境設計がありました。チームの3名へのインタビューから、その舞台裏を探ります。
【目次】
境界線を引かない「リライアビリティ」チームのあり方
― リライアビリティチームがどのような役割を担っているのか教えてください。
坂井主には、社内ユーザー向けのITサポートを行う「一次窓口」としての役割です。ただ、私たちは単に問い合わせを受けるだけの「受付」ではありません。どんなインシデントが多いのかを分析し、自分たちで解決できるものは解決し、運用を日々改善していく。そこまでを担うのがこのチームです。
― メンバーの皆さんも、以前からエンジニアリングに詳しかったのでしょうか?
坂井いえ、ローズさんは空港のチェックイン業務やカスタマーサービス(CS)の出身ですし、添田さんも物流やコールセンターなど、ユーザーに最も近い現場でキャリアを積んできたプロフェッショナルです。
私がマネージャーとしてこのチームに入る際に会社から求められたのは、技術畑出身の私がメンバーをリードし、ユーザー目線に長けた彼女たちと共にお客さまの声を直に聞いていくことで、できる限りその場で問題を解決できるチームにすることでした。お客さまの声を聞くプロであるメンバーと私の技術的なバックグラウンドを掛け合わせれば、それが実現できると確信していました。
ケーススタディ①:ローズさんの「3時間の苦行」を解いたツール
― 現場の課題から生まれたツールについて伺いたいのですが、ローズさんが作られた「プロモーション調査ツール」とはどのようなものでしょうか。
ローズ以前は、お客さまから「クーポンが適用されていない」といった問い合わせがあると、Microsoft Azure上の複数のログファイルを一つひとつダウンロードして、中身を突き合わせる作業が必要でした。これが本当に大変で、1件の調査に3時間近くかかることもあったんです。
チームの他のメンバーも困っていましたし、私自身もとにかく「めんどくさい業務を自動化したい」という思いが強かったです(笑)。そんなときに社内のAI勉強会で「Cline」というツールを知って、「AIなら何でも作ってくれるんじゃないか」と真っ直ぐに信じて飛び込んでみました。
▲ローズさんが開発した「Cre Insight Tool(プロモーション調査ツール)」。複雑なJSONデータを解析し、左側にわかりやすく項目を表示。現在はCSC(カスタマーサポートセンター)チームでも実務に活用されている。
― 開発中、壁にぶつかることはありませんでしたか?
ローズもちろんありました。でも、ITの専門用語がわからなくても、自分のやりたいイメージを全部AIに投げればいいんです。エラーが出たら、その内容を複数のAIに相談して……。
坂井ローズさんと添田さんが、「AI同士を戦わせる」みたいなことを自然にやっていて、それは驚きましたね。
ローズ「このAIはこう言ってるけど、こっちのAIはどう思う?」って聞き比べながら進めたんです。あとは坂井さんにAPIの繋ぎ方などを都度教えてもらいながら、なんとか形にできました。

ケーススタディ②:添田さんのJiraダッシュボード
― 添田さんは、Jiraの分析ダッシュボードを構築されたそうですね。
添田はい。チームの目標であるチケットの一次応答時間や解決時間等のSLO(サービスレベル目標)に対して、今時間内にどれだけ、回答・解決できているかを可視化したかったんです。Jiraの標準機能だけでは痒いところに手が届かない部分が多くて。
以前は振り返りのために半日かけてExcelで計算していたのですが、ダッシュボードを作ってからは数値が瞬時に見えるようになりました。
坂井添田さんのすごいところは、問題を「構造化」する力です。業務をどう仕組みに落とし込むかという視点が鋭いので、チームの意思決定スピードが格段に上がりました。
一方、ローズさんは日頃から「この作業なくならないかな」「こういうことできないかな」というアイデアが次々と出てくるのが強みです。現場の小さな違和感を放置せずに言語化してくれるので、改善の起点になってくれています。
関連記事:「開発経験ブランクあり」のヘルプデスク担当者が生成AIでJiraダッシュボードを自作 | イオン Agentic Coding Study No.1

教えない、でも「ガードレール」は外さない
― 非エンジニアのメンバーがここまで自走できるのは珍しいと思いますが、マネージャーとしてどのような関わり方を意識されていたのですか。
坂井意識したのは、教えすぎないこととガードレールを敷くことです。最初からこの通りにやって、とは言いません。メンバーが困っているときに、「こういうルートもあるよ」と選択肢を提示する。そして、認証周りやトークンの取得といった挫折しやすい部分だけ伴走して、あとは任せる。すると、自分で動画を探して学び始めたり、教えた以上のことを吸収してきたりしてくれます。
― 具体的に「ガードレール」とはどのようなことでしょうか。
坂井一番怖いのは、挑戦した結果、意図せずに本番環境を壊してしまうことですよね。だから、APIの権限を読み取り専用にしたり、安全な検証環境を用意したりしました。「ここなら何を壊してもいい、本番さえ壊さなければ自由だよ」という安心感を作るのが私の仕事です。
なぜこのチームは「自走」ができるのか
― なぜこれほどまでにチームが「自走」できているのだと思われますか。
添田やっぱり「Why(困っていること)」が自分たちの目の前にあるからだと思います。自分たちの業務を楽にしたいという切実な願いがあるから、手段としてのAIを使いこなそうと思える。
ローズ以前は、自分で最後まで作れないから、誰かに頼まなきゃという諦めがどこかにありました。でもAIを使って自分で解決できることがわかってからは、仕事に対する責任感や向き合い方がポジティブに変わった気がします。
坂井自信がついたというのは大きいですよね。
ローズはい。専門用語が飛び交う会話でも、裏でAIに聞きながら「あ、こういうことね」と理解できるようになりました。コミュニケーションがスムーズになったのもAIのおかげです。
「育成」より「環境設計」
― 他の組織でも、同じような変化を起こすためのヒントはありますか?
坂井エンジニアが全てのツールを作る必要はない、ということです。現場の人が、触っていいんだ、と思える空気感を作ること。そして、小さな成功体験を積める環境を設計することだと思います。
環境設計のポイントを簡単にまとめると、まず1つ目は現場の課題感、取り組む理由を尊重し、解決の手段を押し付けないこと。2つ目は、失敗しても大きな事故にならないようなガードレールを敷くこと。そして3つ目は、小さな成功体験を積み重ねられるようにすること。
これらが揃えば、非エンジニアであっても立派な「つくり手」になれます。
リライアビリティチームが広げる未来
― 最後に、今後の展望を教えてください。
ローズプロモーション調査ツールは、自分たちのチームの困りごとを解決するためのものでしたが、今後は他のチームの困りごとも解決したいです。例えば、お客さまの住所のピンずれを修正するツールなど、もっと現場が楽になるものを形にしていきたいです。
添田私はITに詳しくない方でも一括で設定ができるようなバッチツールの配布や、さらなる自動化を進めていきたいです。
坂井「エンジニア」か「そうじゃないか」という区別は、AIによってどんどん溶けていくはずです。このチームがエバンジェリスト(伝道師)となって、組織全体にこの文化を広げていければ嬉しいですね。
イオンネクストではエンジニアを中心としたデジタル人材の採用を積極的に行っています。話を聞いてみたい、Green Beansの事業が気になる…といった方は、カジュアル面談も実施しておりますので、ぜひお気軽にご連絡ください。
※掲載している所属・役職・肩書きおよび各種情報は、記事公開時点のものです。
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