「ユーザー検知で障害に気づいたら、SREとして負け」元AWSエンジニアが感じたイオンネクストが目指すレベルの高さ|エンジニアインタビュー 

「ユーザー検知で障害に気づいたら、SREとして負け」元AWSエンジニアが感じたイオンネクストが目指すレベルの高さ|エンジニアインタビュー 

2024/6/11

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この記事に登場している人

荒井 隆成

Ryusei Arai

イオンネクスト株式会社 IT部 DevOpsグループ 技術戦略チーム マネージャー
新卒で大手SIerへ入社し、インフラエンジニアとしてキャリアをスタート。FinTechスタートアップでSRE、クラウドプロバイダーでコンサルティングを経験した後、フリーランスへ。2023年11月より現職。

    この記事を読むとわかること

    ・Web系企業と遜色ないイオンネクストの技術スタックとツール
    ・「ユーザー検知で障害に気づいたら、SREとして負けと言われるSREチームの取り組み
    ・SREチームのスキルレベル底上げを行い”ミニCTO”を育成する理由とは

    「20代で身につけてきたスキルを活かして、次は組織改善に貢献していきたい」——こうした考えから、荒井隆成が選んだ新たな挑戦の場はイオンネクストでした。シニアSREとして入社した荒井が入社後に驚いたのは、コンテナベースのサーバーレス構成など、想像以上にクラウドネイティブ化が進んでいたこと。課題を抱えつつも、先進的なITインフラが整備されていました。そのぶん、SREチームに求められるレベルも高いといえます。チームメンバーの技術力向上に注力する荒井に、イオンネクストにおけるSREチームの役割やメンバー育成のポイントについて聞きました。

    【イオンネクストとGreen Beansについて】
    イオンネクストは、AIや最新のロボティクス技術を駆使してこれまでのスーパーの既成概念を覆すショッピングのあり方を創り上げていくため2019年12月に設立。2023年7月には次世代型のオンラインマーケット「Green Beans」をスタートし、9カ月間で会員数が16万人(2024年3月時点)まで拡大している。

    【目次】

    根幹にあるのは「やったことのない領域に挑戦したい」という思い

    ——荒井さんの現在の業務内容を教えてください。

    荒井イオンネクストのSREチームでシニアSREとして、Green Beansのサービスの信頼性を維持・向上する取り組みを行っています。SREチームは現在、社員4名、業務委託1名の合計5名の体制です。

    ——これまでのご経歴について伺えますか。

    荒井情報系の大学を卒業後、大手SIerで3年間ほどインフラエンジニアとして官公庁や金融系オンプレシステムの構築を行っていました。そして、クラウドのスキルを得るために、FinTech系のスタートアップ、AWSで経験を積み、フリーランスとして独立。SREやクラウドに関するアドバイザーとして活動した後、イオンネクストへ入社しました。

    年齢のわりに転職回数は多いですが、その根幹にはやったことのない領域に挑戦したいという思いがあります。特に、30歳になるまではさまざまな経験を積む修行期間と捉えていたので、これまでのキャリアを通して、Azure、AWS、Google Cloud、Kubernetesをはじめひととおりのクラウド技術に触れてきました。

    ——イオンネクストに入社された理由をお聞かせください。

    荒井これまでの経験を活かし、今度は組織のなかの人間として組織の課題改善などに挑戦していきたいと考えていました。イオンネクストは、設立から間もないためスピード感を持って仕事ができそうな一方、大手企業の規模感で新規事業を行っており、ある意味資金調達は十分にできている状態でアクセルベタ踏みで事業成長していけるスタートアップのような環境ともいえます。そこが、何より魅力に感じたポイントです。加えて、オンラインスーパーという自分の生活と関わりの深いサービスを提供しており、当事者意識を強く持って組織に貢献していけるのではとも考えました。

    また、CTO 樽石の存在も決め手の1つです。SRE NEXTの基調講演を聞いて、SREのバックグラウンドがある珍しいCTOという印象を持っていました。SREの本家ともいえるGoogleでの経験もあるということで、そうしたCTOのもとに身を置けば、SREとしてのスキルや知見を伸ばしていけるのではという期待感がありました。

    「ユーザー検知で障害に気づいたら、SREとして負け」

    ——実際にイオンネクストに入ってみた印象はいかがでしたか。

    荒井入社前には昔ながらの日本の大企業というイメージを持っており、実際にまだまだ開発者体験がよいとはいえない状況でした。解決しなければならない課題もたくさん抱えていますが、社内のメンバーは皆、出向者や中途採用者ということもあり志が高く、よい意味でのギャップがありました。

    システムも基本的にIaaSやコンテナベースのサーバーレス構成で、想像以上にクラウドネイティブ化が進んでいることに驚きましたし、プロジェクト管理はJira、ドキュメント管理はNotion、コミュニケーションツールはSlackと業務で利用する各種ツールもWeb系企業が利用しているようなものと遜色ありませんでした。

    また、思っていたよりもグループ会社間での交流がありました。イオンスマートテクノロジーのSREメンバーと飲み会をしたり、E2Eテスト導入の実績があるイオンリテールの方からそのノウハウを共有してもらうなど、やりたいことが出たときに知見を持っている他グループ会社から協力してもらうこともあります。

    ——イオンネクストのSREチームにはどのような役割が求められていますか。

    荒井明確に言語化できている状況ではありませんが、樽石はSREチームが所属するIT部について「リライアビリティがIT部の第一」という考えを示しています。そこを中心的に担うのがSREチームであり、信頼性に関わることは何でもやる方針で組成されています。樽石からは「ユーザー検知で障害に気づいたら、SREとして負け」ともいわれていますね。そのために、まずはGoogleが提唱しているような、教科書どおりのSREを目指そうとしています。

    ——役割としては、かなり幅広いですよね。

    荒井そうですね。ただし、樽石には「事業のためのITだ」と口酸っぱく教えられています。将来的には、SREとしてGreen Beansの事業成長に直結する動きをとっていく必要があるとも考えています。

    世の中のSREは、エラーバジェットなどは意識していたとしても、事業KPIまでを追っているかといえば、そうではないケースが多いように思います。正直、私自身も正解がまだわからず、どのように事業成長に貢献していけばよいかは手探りの状況で、メンバーと協力しながらなんとか樽石に食らいついていこうとしています。ただ、目指すレベルが高いからこそ、SREとしてあるべき理想像は入社前に比べてよりブラッシュアップされた感覚があります。

    ——「ユーザー検知で障害に気づいたら、SREとして負け」という状態を回避し、事業成長に貢献するSREを目指すにあたって、現状とのギャップはどのように捉えられていますか。

    荒井オブザーバビリティという観点が未熟だと考えています。最低限の閾値監視をしているだけで、予兆に気づいて未然に防ぐという動きまではまだ取れていません。これについては、今年度対応を進めていきます。

    このほか、CI/CDで自動化しきれていない作業があったり、スケーリングが考慮されていなかったり、セキュリティを強化していく必要があったりなど、改善の余地は多くあります。アプリケーション自体のパフォーマンスや安定性向上に向けた取り組みも進めているところです。

    SREチームメンバーのスキルレベル底上げに向けたさまざまな取り組み

    ——荒井さんが今一番力を入れていることは何ですか。

    荒井SREチームの土台づくりとして、特にメンバーの育成に力を入れています。

    SREチームでは、AWS、Microsoft Azure、Google Cloudと3つのクラウドプラットフォームを利用しており、Terraform、GitHub Actions、CI/CDやE2Eテスト周りなど、比較的幅広いプロダクトを採用しています。全員がすべてを触ったことがあるわけではないので、これらをひととおり利用したことのある自分がリードしてノウハウを共有していくための伴走支援をしています。

    ——入社当時のメンバーの状況はいかがでしたか。

    荒井もともとSREの経験者で構成されたチームではないうえに、さまざまな技術を扱う必要があり、メンバーのスキルやその習熟度はバラバラ。結果として、得意な領域を得意なメンバーが担当する形になっており、業務が属人化していました。

    また、樽石のインタビュー記事にもあるように、Green Beansはタイトな開発スケジュールを経てローンチに至ったため、運用・保守を十分に考慮しきれていない部分があるのも課題でした。

    ——メンバー育成に関する具体的な取り組みについて教えてください。

    荒井属人化を解消してチーム全体として機能するように、スキルトランスファーを第一に意識しました。

    個人的には、技術力を伸ばすために最も有効なのはレビューだと思っているので、ペアプログラミングを積極的に行っています。スピード感は落ちますが、タスクをアサインする際に各メンバーがまだ経験していないことに挑戦してもらえるようにして、ペアプログラミングでレクチャーしながら進めていきます。プルリクに丁寧にコメントしたり、自分がつくったものはレビュー会をして説明したりするようにもしています。

    また、社内にGoogle Cloudの経験者がいなかったので、Googleにワークショップを開催してもらうなど研修も行っています。

    このほか、細かい工夫ではありますが、Slackのtimesチャンネルで技術情報を投稿するようにしています。これを継続していると、自然とメンバーが真似してくれるようになってきました。インプットとアウトプットの習慣をつけていくことは大切だと考えています。

    ——SREチーム全体として改善に取り組んできたことはありますか。

    荒井スクラムの改善です。以前はスプリントの振り返りやタスクの優先順位の付け方をなんとなくでやってきていたため、まずはスクラム開発の基本を徹底するところから始めています。いったんスピードが落ちたとしても、大きく飛ぶためにしゃがむ期間を設けようという会話をチーム内で行ったうえで、スクラムのサイクルをきちんと回すようになったことで、チームとしてよりよくなってきた感覚はあります。

    ——こうした取り組みによる具体的な効果は出てきていますか。

    荒井E2Eテストを導入できたほか、データ分析基盤構築の目処が見えてきました。これは優先順位を整理して、スプリント内で完了するという意識が出てきた結果だと思っています。終わらなかったらチームで協力してやろうという動きも出てくるようになったことで、計画と大きく乖離するケースが減ってきています。

    ——チームとしての変化はありましたか。

    荒井2週間のスプリントごとに、私も含めメンバー皆のできることが増えてきていますね。もともとメンバーは皆、前向きで成長意欲が高く、経験のないことに対しても、プランニングの際に「勉強になるよ」というと喜んで手を挙げてくれるような方々でした。ただ、ここ最近は、その傾向がさらに顕著になってきたように感じています。レトロスペクティブなどで、できていないことや良かったことを振り返り、次のスプリントでチャレンジすることを考えるという動きのなかで、前向きにチームを改善していこうとするカルチャーがじわじわと醸成されてきているのかもしれません。

    ただ、自分自身も含めてまだもがいている段階で、日々勉強することは多くあります。まずは自ら実践してみてその活動を発信し、興味を持ったメンバーを巻き込みながら一歩ずつ進めていくよう心がけています。

    イオンネクストの"ミニCTO"としてSREの輪を拡大していく

    ——今後はどのような取り組みをしていきたいと考えられていますか。

    荒井足元では、SREとしてやるべきことは変わらず、Green Beansを安定稼働させることです。今は土台づくりのフェーズですが、チームの各メンバーがレベルアップして得意領域を持ったうえで自走できるような仕組みをつくっていきたいと考えています。

    ——SREチームとしてはどのような状態になることが理想ですか。

    荒井究極的には、SREチームが解散してもSREという営みが各チームで行われるようになっている状態が理想です。ただ、現状としてはSREチームがかなり幅広い領域をカバーする必要があります。それならむしろこの状況を逆手に取り、イオンネクストの"ミニCTO"のような立場で、私たちのチームが開発を引っ張っていくという気概を持って取り組んでいければと考えています。

    そして、徐々にフィーチャーチームを巻き込み、気づいたら全員がSREのロールを担っているような組織を目指していきたいです。実際に、他のフィーチャーチームのエンジニアにもSREに興味を持つ人たちが出てきています。この調子で、SREの輪を大きくしていけるといいですね。

    ——イオンネクストに向いているのはどのような人材だと思われますか。

    荒井技術力があるに越したことはありませんが、マインドセットのほうが大事かもしれません。イオンネクストは現在、自ら手を挙げてさまざまなことをディスカッションして決めていかなければならないフェーズにあります。「決まっていない」という混沌とした環境を楽しんで自走できる方であれば、活躍できるシーンは多くありますし、今のイオンネクストでしか味わえないことはたくさんあると思います。

    ——イオンネクストへの入社を検討されている方にメッセージをお願いします。

    荒井イオンネクストは、イオングループ肝いりの事業会社です。オンラインマーケットサービスでシェアが取れている日本企業が存在していない現状に対して、イオンネクストは世界最大級のネットスーパーであるOcado社との国内独占パートナーシップやイオングループのアセットやリソースを活用して、Green Beansの成長に向けた取り組みを進めています。期待値が高いぶん成果が求められますが、ここでしか経験できないビジネスに携われますし、フルアクセルでずっと走っていける環境にあります。ぜひ、楽しみながら一緒に挑戦していきましょう。


    イオングループでは一緒に変革に挑んでくれる方を募集中です。

    どんなことをしているのか気になる方は、お気軽にご連絡ください。カジュアル面談も実施しておりますので、まずはざっくばらんにお話しましょう!

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