
この記事に登場している人
この記事を読むとわかること
・イオンネクストでの単純な内製開発組織の長ではない「進化系VPoE」の仕事とは
・継続的な成長を図る企業に必要不可欠な存在「進化系VPoE」に求められる4つの役割
・「進化系VPoE」に求められるスキルをマンダラチャート化
ネット専用スーパー「Green Beans」を運営するイオンネクストは、そのプロダクトと組織を同時に拡大している。今回は、急激な変化に対応するためCTOの樽石が必要性を見出した「進化系VPoE」という存在について考える。
【目次】
VPoEが進化を求められる背景
継続的な成長を図る企業において、今、エンジニア組織のマネジメントの責任者であるVPoEの役割に進化が求められている。まずはその背景と「進化系VPoE」に求められる役割を4つ挙げてみたい。
働き方の多様化と分散型チームの一般化
パンデミックやデジタル化の影響で働き方が一層多様化する中で、分散型チームでの開発が一般的となってきた。また、自社の社員だけでなく、協力会社の社員、フリーランス、副業など、バックグラウンドや働く環境、カルチャーの異なるメンバーがひとつのチームとして開発を進めるケースも増えている。
そういった状況において、VPoEは単に社内のエンジニア組織のマネジメントに留まらず、多様性の高いチームを継続的に運営し、発展させる役割を担うようになってきている。
あらゆるもののソフトウェア化
通信技術の高度化やAIの急速な発達に伴い、リアル産業のデジタル化とデジタルネイティブ企業のリアル社会への進出が加速し、デジタルとリアルの本格的な融合が進んでいる。
デジタルとリアルが複雑に絡み合う世界で、VPoEにはより高い技術的専門性が求められるようになっている。
イノベーションへの期待増
技術の進化が次々と起こる現代において、企業はイノベーションを続けなければ生き残ることができない。
進化系VPoEには、プロダクト開発における戦略の解像度を上げ、実行に移すイノベーション推進力と、メンバーがオーナーシップを持ってブレイクスルーを起こすことができるようになるための育成能力が必要とされる。
スピードとコスト効率の重要性拡大
テクノロジーの進化と共に市場競争が激化する中で、システムの規模にかかわらず、開発における時間とコストの最適化が非常に重要となっている。
特に大規模なシステムの開発の場合には、内製開発と外部委託を組み合わせながら、コストとスピードを加味した最適な意思決定をする能力と知識がVPoEには求められる。
「進化系VPoE」マンダラチャート
ここまで挙げてきた要素を踏まえ、「進化系VPoE」に求められるスキルをマンダラチャートで表してみた。中央に配置した8つは樽石が重要だと考える要素。それらを取り巻く要素についてはChatGPTと対話をしながら抽出している。これをアルファ版として、今後解像度を上げていきたい。

技術的専門性
技術的専門性は進化系VPoEに求められるスキルのうち、最も重要でベースとなるものである。複雑な組織の構造や技術課題の解決方法をソースコードとして言語化することで、EMやエンジニアとのコミュニケーションが円滑となり、課題解決の推進力が増す。
ビジネス理解力
開発組織が事業の成長に貢献するためには、業務部門とのコミュニケーションが欠かせない。ビジネスモデルや市場のトレンドを深く理解し、経営視点で判断することができるVPoEは業務部門と開発組織の架け橋となるだろう。
イノベーション推進力
与えられた戦略の解像度を上げ、具体的な実行に落とし込むスキル、そしてイノベーションが生まれやすい環境や文化を育てる能力は、イノベーションへの期待が高まっている現代に強く求められている。
組織マネジメント力
多様なバックグラウンド、多様な働き方のメンバーが集うチームで開発を進めていくためには、エンジニアとコミュニケーションを取り、目標やモチベーションを管理するスキルも重要だ。
結果責任・言語化力
結果に対して責任を持ち、ファクトを言語化するスキルは、現場エンジニアだけでなく経営陣や非エンジニアとの信頼関係構築においても重視される。リモート環境でのプレゼンテーションや交渉の機会も増える昨今、これまで以上に建設的な対話を心がける必要がある。
採用力
優秀な人材を採用する難易度が高まる中、自らをブランディングし、メディアやイベントで積極的に発信することで自社をアピールし、採用につなげることができるVPoEの存在は大きい。
ファクトベースの意思決定
ファクト、すなわちデータに基づく意思決定はステークホルダーとの合意形成や次のアクションの特定に役立つ。組織全体がファクトに基づいて話をする意識を持てるようにリーダシップを取っていくことも進化系VPoEに求められる役割だ。
EMマネジメント力
特にEMの数が多い組織においては、メンバーをマネジメントするEMのマネジメントも大切だ。技術的専門性を持つプロフェッショナル同士、技術的なコミュニケーションをしっかりと取っていくことが求められる。
加速度的な成長を続けるイオンネクストが求める「進化系VPoE」
2023年7月にグランドオープンしたネット専用スーパー「Green Beans」を運営するイオンネクストは、ローンチから約1年半で、急拡大を遂げている。配送エリアの対象世帯は約730万世帯にのぼり、会員数はすでに50万人を突破した。
サービスの拡大に伴い組織の体制にも変化が起きている。Green Beansのデジタル面を一手に担うIT部は、昨年まで約30名の組織であったが、現在はパートナー企業やフリーランス、副業の方々も含めると約120名の体制となっている。
そんなイオンネクストにおけるVPoEは、働く時間や場所、契約形態の異なる約50名のエンジニアをOne Teamとしてマネジメントするとともに、IT部全体の最適な体制を検討する役割も担う。
また、開発しているプラットフォームは、いわゆるソフトウェアだけでなく、倉庫やロボット、トラックなど多様なものをソフトウェアとして定義し直し、垂直統合しているため、一般的なSaaSサービスなどと比較して複雑だ。リアルを知り、内製や既製品の活用等、様々な方法論を組み合わせながら開発をしている。
メンバーの体制も開発するプラットフォームも複雑な中で、まさに今イオンネクストでも「進化系VPoE」が求められている。
イオンネクストにおける「進化系VPoE」の仕事
イオンネクストIT部では現在、事業別組織から機能別組織へと組織構造の変革が行われており、エンジニア組織やPdM組織の立ち上げ段階にある。イオンネクストの開発組織規模は小売のビッグテック企業と100倍以上の開きがある。そのエンジニア組織のトップとなるVPoEには、開発生産性を100倍にするという大きなゴールのもと、目下2つの任務がある。
ひとつは、目標ドリブンの開発組織を作り上げるための、OKR型のマネジメントの確立。
もうひとつは、EMのマネジメントだ。イオンネクストでは現在約150の業務システムを扱っており、ムーアの法則によればこれが今後2年間で約2倍にまで増えることが予想される。複数のEMがそれらを分担していくことになるため、EMのアサインや組織設計もVPoEの大切な仕事となる。
組織が大きな変化を迎える今、生成AIなどのテクノロジーの積極的な活用を前提とし、VPoEとしてともに会社とプロダクトの未来を作る人材を、イオンネクストは求めている。
イオンネクストではエンジニアを中心としたデジタル人材の採用を積極的に行っています。樽石と話をしてみたい、Green Beansの事業が気になる…といった方は、カジュアル面談も実施しておりますので、ぜひお気軽にご連絡ください。
【関連記事】
イオンネクストの取り組みについてもっと知りたい方へ、こちらの記事もおすすめです。
内製×副業のハイブリッド組織を支えるIDPの実践例 “ドキュメント管理と自動化”

1年半で100本。イオンネクストが実現したPostmortem文化の作り方

最先端のプラットフォームを創り次世代オンラインスーパーマーケットをつくる、イオンネクストの現在地と未来

Design Docsをもとに生成AIでサンプルコードをつくり新機能「線香花火クーポン」実装 |イオンの開発生産性

※掲載している所属・役職・肩書きおよび各種情報は、記事公開時点のものです。

インタビュー
2026/7/28
AI活用が進化する未来に、エンジニアは“なぜ作るのか”を問う ──イオン株式会社執行役デジタル担当・太田卓也氏が描く、小売の変化とデジタル戦略

入社・在籍エントリ
2026/7/23
【入社エントリ】東大・リクルートを経てイオンに入社した理由は 10兆円規模のデータ基盤を設計から変えられるから

イベントレポート
2026/7/21
このデータの山を、全員の宝にしたい──ASTがNew Relic MCPで挑んだオブザーバビリティ民主化

インタビュー
2026/7/16
24時間稼働の店舗を止めずにMDシステムを刷新せよ。イオン東北システム統合、若手エンジニアの成長とチームの挑戦
イベント情報
人気の記事

イベントレポート
2026/2/5
データ基盤に銀の弾丸はない──ASTが“Google 検索×自社データ”で現場の200時間を取り戻すまで

インタビュー
2026/2/24
「現場のスピード」と「コストの壁」をどう突破するか──イオンの店舗向け業務システムSmartHHTが選んだ、データ基盤"いいとこ取り"の再構築とは?

インタビュー
2026/2/10
価格の最適化で小売の収益構造を変える──イオンが挑む「スマートプライシング」とは

インタビュー
2025/10/7
イオンの従業員向けAIプロダクト「Query Vision(クエリビジョン)」──開発ストーリーと社会実装のリアル

インタビュー
2026/4/23
